最終話 僕はここにいる
春が来て、夏が来て、秋が来て、そして冬が全てを隠す。やがて
隠れていた物が、また見え始め、又春が訪れる。そんな中、本当に樹木の
様に、目に見えない速度で成長してきた。
それは一人ひとり来てくれた、いや、お店に来なくても力を貸してくれた
全ての人達のお陰なんだと、年数が経てば経つほど、そう感じる。今ここに
十周年と言う一つの壁をぶち壊す時に、刻一刻近づく中、走馬灯のように
色々な人達との色々なシーンが思い浮かぶ。
渡り鳥が羽を休めるように、ここで一息だけついた人。
悲しみの雄叫びを揚げる猛虎のように、泣き続けた人。
小鳥のパーティーのように、一晩中はしゃいでいた人。
様々な人の笑顔と涙と、そして出会いと別れを繰り返し、このお店は育ちました。
バーテンダーそれは、止まり木的な意味を含むとおり、このお店から
巣立って、もしも、また戻る日があるならば、再び僕は止まり木になるのでしょう。
そういう風に思えるようになったのは、きっと皆のおかげなのだと思います。
ただ・・・・。
あの日出せなかった12000円は永遠の悔しさ。だから僕は思う。
仁ちゃんの息子がいつかこの場所に現れて、ターキーの空ボトルの中身を
いつか溢れる程に注いで欲しい。それが10周年を迎えられた僕の次の夢。
だから僕はここにいる。ここを守る。
そして、一人、ひとりに、今、ありがとう。
ってな訳で僕とお店と涙と笑顔は終了になります。最後まで付き合ってくれた方々ありがとうございます。9年を数行で表すには短すぎました。そのぐらい色々な事が起きる舞台です。そしてもし興味を持たれた方、是非ぱかぱかに足を運んでみてください。
それでは日曜17:30にぱかぱかで!
第一弾 “僕と競馬と馬と馬券” こちらもよろしく